
パワーコードというと、「ギター初心者がやること」というイメージがあるかもしれません。
しかしそれは違いますよ。
下の動画では、(分数コードを除き)パワーコードしか使っておりません。
しかし、これだけのグルーブとノリを演出できます。
パワーコードなんて誰でも弾けるといわれますし、それは事実なのですが、それを極めるのは意外と難しい。
今回は、そういうお話です。
パワーコードとは
大々的に使ったのはBlack SabbathのTony Iommiといわれます。彼はパワーコードと弦高の低いギターによってグジャっとしたギターサウンドを作り出し、ヘビーメタルといわれるジャンルの基礎を作り上げました。
そんなパワーコードは、「F」や「G」といった、いわゆる「コード(理論的・規則的に導かれた音の並び)」から音を抜いていき、必要の最低限の音だけを抜き出した「コード」。
その構成音は2音だけであり、最低3音を必要とする通常のコードより音が少ない分押さえる場所も少なくて済みます。
また、曲が進みコードが変わっても、その形をそのままにギターの指板上をずらすだけであらゆるコードに対応できるという利点も持ちます。
つまり、このパワーコードの形を覚えさえすれば、実質的にあらゆる曲が弾ける。
「パワーコードが上手い」とは?
「ギターが上手い」というのは人によって基準が異なるので一概には言えませんが、
こと「パワーコードが上手い」に関しては、
私は「リズム感」が全てだと考えます。
ドラムとベースが生み出すグルーブに正確に乗っかる技術。
力強い前進感が求められるメタル系やアニソン系ではなおさらです。
大前提として、「ドラムが鳴るのが聞こえる」「メトロノームの音が聞こえる」時点であなたは遅れています。
ちゃんとリズムに乗っているなら、
「ドラムと同時に/メトロノームと同時にピックを当てている」はずなんですよ。
このように「ビートに当てる」ことができるギタリストのプレイはグルーブの出方が全く違い、一聴するだけでわかります。
リズムキープ・テンポキープにも直結しますし、プロならできて当然の事柄ですが、ここまで踏み込んで練習している方はあまりいないのでは?
スライドとベンドで飽きさせない
上の動画をよく聞いていただくと、所々で瞬間的にスライド/グリッサンドやベンドを使っているのが分かるかと思います。これもまた肝で、要は
「同じプレイでもいかに飽きさせないか?」
という事です。
日本のバンドと海外のバンド、それぞれのライブで見られる違いとして、CDとライブで同じプレイをするか否かというものがあります。
無論例外は多数ありますが、「その場限り/そこにいる私達しか聞けないプレイ」という意識があるのでしょうか、海外でのライブでは「CD/音源でやっていないことをやる」と盛り上がるんです。
逆に同じプレイをしても「ああ、知ってる」で終わってしまってイマイチ。
どうしてもプレイが単調になりがちなパワーコードメインのプレイで、どうメリハリをつけるか。
センスの見せどころです。
さてさて、ギター歴が長くなるほど「パワーコードが弾けているか」などと疑問に持つことは難しくなりますが、あなたはどうでしょうか?