DTMerはプラグインが大好きですよね(ブーメラン発言)
EQ、コンプ、空間系、シンセ、歪、リミッター。
プラグインを買うために仕事をしている、という方も少なくないのでは?
多くのプラグインが設定する1万円以上、10万円以内という価格設定は
決して安くはないけれども、手に届かないわけではない、という非常に巧妙なレンジ。
それを浪費と否定するつもりなどありませんが、お金は本当に必要なものにのみ費やすべき。
プラグインを蒐集することが目的であればもちろん聞き流していただいて構いませんが、
機材代という名の出費を減らすために何ができるかを考えてみましょう。
デモを活用する
ある程度実績のあるメーカーのプラグインは、ほとんどの場合プロユースを想定しますので無料でのデモ(体験版)を提供しています。
1週間限定だったり、設定の保存ができなかったり、と制限が付くことも多いですが、実際に使用してみて必要か、「使う場面の数と出費が釣り合うか」を検討することは節約のためには絶対に必要です。
いまあるものを活用する
そもそも、そのプラグインを購入する必要はありますか?
特に最も使うであろうEQ、そしてコンプ。
一例をあげれば、
ProTools付属のAvid Channel Stripや、EQ3 7-Band、Dyn-3、BF-76等は、ProToolsさえ導入していればWavesやその他のバンドルを導入していないスタジオでもそのまま設定を維持してプロジェクトファイルを受け渡しできるため、プロスタジオでの作業でも多用されています。
これらは十分に高機能ですから、これらだけで作業可能です。
実際、私はAvid Channel Stripが大好きなので、WavesのQ10やRenaissance EQを購入していながら一度も使ったことがありません。……これぞ浪費
一方マキシマイザ系統だったり、「D-Verbの音」「Valhallaの音」といわれるような、リバーブやディレイ、フェイズシフトといった空間系やオートチューン、歪といったエフェクト類はプラグインごとの違いが確かに存在するので、「それでしか出ない質感が必要」なのであれば購入するほかないでしょう。
モデリング系プラグインの罠
出ました、沼!!
実在のハードウェア機材をモデリングしたプラグインは、いわばDTMの花形です。
使うだけでコンペに通るといった妙な噂が立つこともしばしば。
モデリングの精度やオリジナルの個体差によってプラグインごとに違いがあり、実際にプロが使っている場面を見ることも多いだけに、財布のひもが緩みがちです。
これに対しても有効なのが、「使う場面を想定すること」。
スタジオの実機でも、「この機材はこの楽器に特に有効」という定石が多量に存在します。ベースに対するdbx-160だとか、ボーカルに対するCL1-Bといった話です。アナログ機材の多くは、ミックスの前段階である「サウンドメイク」の用途に使われます。
それが自分の制作する音楽に必要か、を見極める。ボーカルに最高なWavesのCLA-76_revA(Blue)のように、それ自体が強烈なキャラクター性や明確な使い道のあるプラグインであれば導入も検討する。
複数メーカーによる同一機材のモデリングがある場合は、基本的には画面の見やすさ、軽さといった使いやすさでも比べてみてください。
また、私の場合「UADのラインナップにあるものはUAD-2に絞る」ことを選択しています。他メーカのものも「実機っぽさ」はちゃんとありますし、コンプのリダクションは実機よりすこし抑えるなどの工夫で十分実用できるものですが、実機そのものとは確実に差異があります。
UAD-2であっても実機そのものとまでは言えませんが、とりあえず、そんなことはどうでもよくなるほどのサウンドを確実に聞かせます。
UAD-2の圧倒的なクオリティを使いだした途端、
他のプラグインメーカーのアナログモデリングに対する興味が全く湧かなくなりました。
私はほとんどのトラックを生録で収録しますし、録音時のモニターエフェクトとしても大変優秀ですので、この方針は私にはぴったりだったと思います。
自宅にもUAD-2を導入したのが最後、それ以来のここ1年程モデリングプラグインは文字通り一つも購入していませんから。
ソフトウェア音源のクオリティ(生音サンプリング系)
スタインウェイのグランドピアノだとか、Neve80××でレコーディングしたう゛ぃんてーじドラムだとか。
その類のお高級品はそもそもの音が素晴らしいので、他のプラグインで「サウンドメイク」せずともDAW付属のEQで帯域をあけてやるだけで素晴らしいサウンドを聞かせます。
「音楽制作は引き算と考えろ」と言われたものです。
楽曲制作において、レコーディングで100点だったものが、ミックスで120点にはなりません。大元の音が素晴らしくなければ、他のどこに投資しようが音のクオリティは上がりません。
DAW付属のシンセやドラム音源で作った楽曲にUADを使ったものと、
良質なソフトウェア音源や楽器でDAW付属のEQを使ったものとでは、
より繰り返し聞いてもらえるのは後者です。
最も大切なのは楽曲のアレンジそのものですが、その次はそこです。
まとめ
私が実践している節約テクニックを書き出してみました。
本文でも書いていますが、私はここ1年程プラグインをろくに購入していません。
代わりに、音楽制作の書籍だとか楽器そのものに投資しています。
私は録音時点で音を作るタイプですし、WavesやIK、BFDにKontakt等基本的なものはすでに購入していたという事もありますが、そもそも新しいものを購入する必要性を感じないところまで来ています。
「音楽制作は引き算」、楽器が持たないものを後から付け足すことはできません。
それを忘れることはせずに、
「どうしても替えの利かないものだけ購入する」
という方針は、きっと誰かの参考になってくれるものと思います。