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本機の名称「SHELFORD」は、かつてRupert Neve氏が自身の最初のモデル1073を作り上げた場所である英国 Little Shelfordに由来します。

このNeve 1073は1960年代に開発され、今現在にあっても「理想のサウンド」の称号を欲しいままにし、あらゆる音響機器の中で最も後世に影響を与えた機器の一つ。

現在多数の小~中規模な音響機器メーカーが著名なマイクプリアンプのクローンを発表・販売していますが、そのほとんどがこのNeve製品群をモデルとしていることを考えれば、その影響力が伝わると思います。

BAE( BRENT AVERILL )やGolden Age等多数のクローン/インスパイア機材が発表される中、 現在Rupert Neve氏自身が率いるRupert Neve Designes にて「現代の、進化したパーツと技術をすべて投入して1073を創ったらどうなる?」というコンセンプトにて開発されたのが本機となります。

現在では3万円台で「Neveサウンド」が得られる

一般的なスタジオに見られる、「そこそこ良い」状態の通常のNeve 1073は音の鈍りが大きく、その鈍りが”自然なコンプ感”や”自然な太さ”といわれる味なわけですが、「徹底的にメンテされた」1073はその鈍りに加えて強烈なミッドハイの押出感を持っています。

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マイクプリアンプ

専用のカスタムメイドトランスとクラスA動作の増幅段からなり、最大ゲイン72dBを持つプリアンプは、テンポの速い現代音楽に対応できるよう魔改造されたNeve1073、といったサウンドキャラクター。

レンジ感はクリアながら、重厚なオールドNeveの低域感と、ぎゅっと詰まったローミッド、艶々したハイエンド。輪郭がはっきりとした際立つ音です。トランスベースのDIとしても使え、同社のRNDI同様レンジの広さと「楽器の美味しい部分しか出さない」感じを兼ね備えています。



Rupert Neve Designesの現代音楽的なハイファイ感にオールドの太さと滑らかさを加えた、これまでのNeveサウンドの集大成といって良いかと思います。ボーカルやリード楽器への相性は凄まじく、これを通した音はそれをずっと聞いていたくなるほどの、説明不能な魔力を持ち、Justin BieberやJAY-Z等はライブにおいても本機を導入しているとか。

それほどの質感を持ちつつも、声や楽器の表現力を妨げることなく優しくブラッシュアップしてくれるような、代えがたいサウンドです。

EQとは独立して、12dB/Octaveの20-250Hzスイープハイパスフィルターを備えるのも便利です。

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良質なマイクプリは、SM58でも「完成まで使えるいい音」にしてくれますよ。

Silkセクション

Rupert Neve Designs(以下RND)のモジュール伝統の倍音コントロール機能「Silk」も搭載され、オールドNeveで見られるような音の主張度合いと滑らかさを与えます。

倍音コントロールといいつつ、音のアタック感(トランジェント)にまで作用し、

REDはメンテ万全の超ゴキゲンな1073を思わせるバリっとしたド派手な張り感、BLUEは1081のようにアタックの滲む愁いを帯びたサウンド。

付与量をパーセンテージで制御可能なTEXTUREコントロールと合わせて、オールド機の何倍かにまで与えることも可能(!?)、これによって音に奥行を与えることも可能です。

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EQセクション

“BEST of The Classics”と称されるEQセクションは、名機Neve 1073をベースにしつつも「あらゆる」Neveのハイブリッド。

1064のクリーミーで強烈に図太い低域、最大に主張する1073の中高域を兼ね備えます。インダクタ特有の優しく柔らかな変化が気持ちよく、違和感なく優しい変化をもたらし、このサウンドはデジタルのEQとは比べ物になりません。

スネアを現代ロック風な極太中抜けにしたり、インダクタの自然なかかりを活かして、ボーカルの4k付近のシビランスを抑えて後からSSLでハイを持ち上げたり、耳を使って探る限りあらゆる「欲しい音」を作れます。

コンプセクション

1.5:1から8:1のローレシオ/ブレンドコントロールも搭載した2254といった位置づけのコンプも、レベル補正から音作りまであらゆるコンプのサウンドを生み出せます。

以前同じくRNDより開発された同シリーズの「SHELFORD 5051」では、Portico II Master Buss Processor系の、VCAベースらしい自然なかかり方をするコンプでしたが、本機SHELFORD Channelでは大幅に変更がなされ、Neve 2254を手本とする「スカァンッ」なサウンドのダイオードブリッジコンプが搭載されました。このコンプが大変な名機で、ボーカル/スネア/リード楽器といった楽器と抜群の相性を見せます。

アタックとリリースは「TIMING」コントロールで同時にコントロールされ、トランジェントにより異なるものの

FAST 180μ~1.8ms 100~150ms
MedFast 750μ~5.25ms 160~250ms
Med 2.7~18ms 350~525ms
MedSlow 4.6~38ms 600ms~1s
Slow 11~35.5ms 800ms~1.25s
Auto 5.75~35.5ms 400~850ms

とのこと。アタックの反応はFAST ATTACKコントロールにより更に3割ほど早くすることも可能です。

3:1~6:1あたりの普段使いなRATIO帯では、FairchildやChandler TGといった伝説的リミッターを彷彿とさせる見事に暖かな効きで、かつ望まれるセッティングが容易にできるよう改良されています。Neve大先生の「現場への理解と愛情」をうかがわせる点です。

強烈なリダクションが可能なため、MAKEUP GAINは-6dBから+ 20dBまでの31ステップとかなり広くとられているのも特筆すべきでしょう。更に、コンプを通した後のサウンドと通していないサウンドをBLENDできるコントロールを備え、一台でパラレルコンプが可能な点も見逃せません。


ボーカルレコーディング時には1176ライクに4:1や6:1といったRATIOに設定し、Fast Attackモード、リリースをAutoにすれば最適なカーブ、滑らかながらもしっかりと抑え込み、非常に歌いやすく。声を張ったときの質感には、Urei・Tube-Tech・Distressorとも違う独特の気品とロックなスピード感が漂います。

ヘッドアンプ部の滑らかな質感と相まって「ロックなのに自然で滑らかな質感」という、実に見事な唯一無二のサウンドに仕上がります。

私も使用している「GAP Pre73」4万円台ながら改造で大化けします

導入後の雑感

総じて、アニソンやボカロを含む、現代的でテンポの速い女性ボーカル楽曲にはまさにベストマッチだと考えます。

本機の出番は、やはりリードボーカルやリードギターといった「花形」セクション。

「通すだけで音を変える」真髄。
自然な粘りはコンプによる別途の処理を不要にし、SilkとTEXTUREコントロールで全体中心とする周波数レンジを切り替え、定位の奥行き感も自由自在。

コントロールも洗練されており、「音楽を創る」ことが非常に楽しくなる機材です。
C12や800Gと本機を組み合わせて女性ボーカルを録るのは何よりも幸せな時間。

ただ残念なことに、ボーカリスト側も歌っていて大変気持ちがいいようで、これを導入してからOKテイクまでの時間が通して3回とかになってしまい、そもそものレコーディング時間が短くなってしまいました(笑)
実にジレンマです。

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