
私が1957年製LesPaul Specialを購入する際、実際にチェックした点など。
信頼できるショップで購入すること
何はなくともこれです。年式を偽ったり、あえて傷をつけた安物をビンテージとして売りつけるショップも実在する……らしいです。(おーこわ!)
GibsonやFender、ESPのCustomや個人工房、有名アンプメーカー等と直接のつながりがある店舗であれば、おおよその目安にはなりますが、正直ここは自分の知識と経験が試される部分でもあります。
おおよそビンテージを名乗るクラスのギターの商談には、バイトさんに頼んで店長クラスを引っ張ってきてもらって構わないと思います。 ギターの知識は当然。ギターだけでない、音楽業界や歴史上の名盤、他の楽器について、音楽そのものへの理解。
知識、経験、相手の仕草。自分の持てるすべてを使って、その店が信頼できるかをチェックしてください。
個人的には、アコースティックギターの名機を多数取り揃えるような店なら、一定の信頼を置いても大丈夫であると考えるようにしています。
ネット通販で試奏もなし、なんてのは文字通りの論外です(笑)
GibsonやPRSといった「単価が高いギター」だけで儲けを出しているような店ではなく、
実店舗を持ち、 Fender TwinやDeluxe、復刻版でないJMP/JTM、中国製でないVOX AC30といった「良質な試奏用真空管アンプ」を用意し、爆音で鳴らせる環境を整えていることが最低条件です。
楽器の状態
さて、それでは実際に楽器を見せてもらいましょう。
まず遠目にクラックや杢目など、見た目でわかる状態を見ます。見た目もモチベーションにはとても重要。
しかし、特にレスポール系の場合、遠目からでも、どこから見ても同じような縞がはっきりと見えるような楽器は、十中八九がソフトメイプル。
以下の記事で説明しているように、ギターの音は木材が命。ボディの多くを占めるトップのメイプルが柔らかいようでは、空前絶後の音は望めないというのが私としての結論です。
逆に、普通に見る限り特にそうでもないが、ある一点から見るとすさまじくトラが浮き上がるようなメイプルは非常に良質なものである可能性があります。そういったものは、……天国への階段かもしれません……
演奏性のチェック
さて、見た目の後は、ネックの反り具合、指板の状態、フレットの残り、ビビり、ブリッジの反り(長年弦の圧力にさらされたブリッジはわずかに変形する)、ナットの状態、ペグの感度、ボリュームとトーンの効きとトルク具合、チューニング維持にオクターブチューニングと演奏性に関わる部分をチェックしていきます。
店員さんが許すようなら、回路部分のコンデンサ、配線状態から再半田の有無なども確認させてもらうべきでしょう。
ビンテージは必然的に年月を経ているため、ガタが来ているパーツがあったりしますし、演奏には耐えられ無いようなコンディションであるものも出てきます。しかしながら、それらも多くの一般店舗ではただ「ビンテージ」として売られているため、ジャッジは自分自身で下さなくてはなりません。
最悪店員さんに任せてもいい部分ではありますが、特にビンテージに関する知識はあらゆる店員さんがすべて理解しているわけではないので、自分でもしっかり把握できるように勉強しておくことを勧めます。
サウンド
さあ、ここまでですべて満足できたなら、いよいよ試奏と参りましょう。
まあ、買う気がなくとも、ビンテージは勉強のために 試奏させてもらうといいかと思いますが(笑)
私がいつもやるのは、
上述の通り、タッチセンシティブなアンプで、まずギターのボリュームとトーンをフルアップでリードトーンをアンプで作り、
その後ギターボリュームを絞って3コード、7th系コード、9th系コードを軸にできるだけあらゆるボイシングで試し、ネックグリップの具合やボリューム/トーン/ピッキングへの追従を確認したのち、
単音フレーズの太さやレガート/ライトハンド時のコンプ感といった面でソロでのアビリティを確かめていくことが多いです。
これは実際にライブなどでのギターの扱い方と全く同じですし、いちいちアンプのチャンネルを切り替えたりする必要もありません。
本当にいいギターの場合、最初に構えてアンプの前に立った時点で何も考えずとも次々フレーズが溢れてくるような現象が起こります(笑)
この環境下で出費に満足できる音が出るならば、そのギターのサウンド面も合格とみて良いでしょうね。
さて、ここまでくればそのギターの素性は何となくつかめるはず。
これを納得がいくまで繰り返し、売れてしまわないことを祈りながら、財布やお上と相談しつつ決断してください。。
ただ、アドバイスとして、ビンテージレスポール系とストラト系は本当に売れるのが早いですし、ビンテージストラト専門店といった系統の店でもない限りは、同じものが入ってくることはほぼ「皆無」ですから、一期一会であることは忘れずに。
ギタリストとしては 、いいと思ったものは、多少無理をしてでも買うべきだと考えます。